令和2年度取組事例集

取組団体


県営住宅南町団地入居者会
代表者 本田 正義さん


取組名称


ふるさとを思いみんなで地域伝統工芸を学ぶ「大堀相馬焼陶芸教室」


取組の概要

 南相馬市の南町団地には230世帯(約400人)が入居しています。そのうちの、6割が浪江町出身者であり、残りが他の相双地区からの避難者です。さまざまな避難元が混在する復興公営住宅では、異なる避難元の入居者同士の交流が進んでいません。そこで、相双地域の伝統工芸である「大堀相馬焼」による陶芸教室を開催し、団地内での新たな交流を促進しました。

 

取組の様子

 団地の敷地内にある集会所で陶芸教室を2回開催しました。未就学児から高齢者まで合計49名の老若男女が参加しました。それぞれの回で制作したものは異なり、1回目は粘土成形による皿つくり、2回目は素焼きマグカップの絵付を行ないました。2回目の開催時には、1回目の作品展示を行い、参加者の皆さんからは大変好評をいただきました。教室には男女ともに初めて交流会に参加するという方も見られ、この取組における成果となりました。また、団地の代表管理人が教室開始前に挨拶も行い、入居者と役員との顔つなぎの場ともなりました。相双地域の伝統工芸「大堀相馬焼」は、入居者の多くがふるさとを思い浮かべることができる地域産業です。ふるさとを忘れたくないという思いに寄り添いながら、避難元が異なる入居者が共に参加する交流会を開催したことで、コミュニティ形成や孤独死予防などの課題に対するアプローチができました。今後も、入居者同士のつながりを育む機会を作り団地内の課題に向き合っていきます。

実施者の声

 感染予防としてパーテーションを配置していましたが、粘土をこねながら作業をすることで会話もはずみ、思い思いに作品を作りながら、交流会を楽しみました。そして、この交流会を開催したことで、異なる避難元の入居者の方々の新たなつながりを創ることができました。今後はこの交流をさらに深めるために、陶芸教室に限らず、今回作った皿を使った料理教室なども考えていきたいです。

参加者の声

「避難元の顔馴染みの方が講師だったので、先生の顔が見たくて参加しました」

「教室で『えっ、近くの家だった〇〇さんだよね?』という方に会い、団地に住んで約3年になりますが、未だに顔を知らない方が多いことに気が付きました。教室を通して新たな親睦を深めることができました」