29年度取組事例集

取組団体


相双自然栽培懇談会
代表者 前田 一男さん


取組名称


相双地域で自然栽培を展開していくための農・食・販の連携事業


取組の概要

 相双地域の農業は、福島第一原発の事故以降大きな困難に直面しています。安全・安心をつきつめ、農業を取り巻く課題解決と地域振興につなげようと、自然栽培を軸とした活動が始まりました。今回の取組では、自然栽培のすばらしさと可能性を伝え、参加者とともに考える場として、地元の方々を対象としたフォーラムが開催されました。

 

取組の様子

 難易度の高い自然栽培を根付かせるためには、担い手、販路の確保、社会への浸透に向けた戦略など、様々な課題について、関係者が共に考え、悩み、協力していくことが不可欠です。フォーラムでは、こうした課題解決につながる事例が紹介されました。

 石川県羽咋市の高野誠鮮氏からは、米や農家を軸に限界集落を蘇らせた自身の経験が語られ、自然栽培のもつ可能性についてお話がありました。水稲の自然栽培の第一人者である古川哲次氏からは、自然栽培による米作りについて具体的に説明いただきました。

 フォーラムに向け、懇談会メンバーは、水俣市の自然栽培等の先進事例を調査していました。マイナスの状態からプラスへと転換した水俣市の取組について、メンバー間で議論を重ねた結果が、披露されていました。

 決起会ともいえる今回のフォーラムには、農業・飲食業・流通業などの関係者のみならず、自治体の方も参加していました。時間が限られる中、参加者から積極的な質問が行われ、将来の担い手となり得る方々が参加した今回のフォーラムは、活動のスタートとして有意義なものとなりました。

実施者の声

 「相双地域の復興・再生に向けて、これまでの住民の帰還だけを期待するのではなく、新しい人を呼び込むための取組みが必要と考えています。自然栽培はその一つの選択肢となり得ます。先進地の事例を直接学び、フォーラムを通じて相双地域の皆さんに理解してもらう機会を作れたことは非常に有意義でした。高野氏や古川氏を始めとした他地域で自然栽培の取り組む方にご協力いただけることも大変ありがたく思っています。
 この取組みをきっかけとし、相双地域で自然栽培を支援・促進し、地域の食文化の魅力を発信していくことを目指して活動していきたいと考えています。」

参加者の声

 「相双地域でも戦略をもって生業である農業を復活できればよいと思いました。」
「高野氏のお話から、希望が見えました。本気でやることが大事だと思いました。」
「高野氏のお話を熱く拝聴し、同じような事業に取り組む者として、味方を得た思いです。古川氏の取組は、相双地域での拡大・定着の観点から、もっと具体的にどの程度収益に絡むか聴きたいと思いました。」
「農家・JAを動かす知恵の力を感じ、パワーをもらいました。」
「自然農法の考え方について、理解を深められました。」